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3、今後の部活動の方向
今、新しい学力観に立つ中学校教育の転換、価値観の多様化、生き方自体の個性化など、21世紀に向けて学校教育はどうあるべきか見当がつけられない状況である。まして、部活動の果たす役割の中で、『競技力向上』の「競技力」とは、一体どういうことを目指すのか中体連関係者は、はっきりさせておく必要があり、中体連の考え方を、少なくとも学校教育関係者には、周知しておくことの必要性を強く感じずにいられない。
本県中体連研究部が文部省に先だって平成8年7月に実施の調査の中で、各学校教員に「今後の部活動の方向について」調査したところ大変興味ある結果が出た。前に示したように31%は、従来通り学校教育活動の一撮として位置づけ活動させるべきであると答えたものの実に63%については、社会体育へ徐々にまたは早急に移行すべきとの回答だった。この傾向は、本県ばかりではなく、10月に新聞発表された文部省の調査結果においても同じようなことがいえるのではないでしょうか。特に、中学校教員に移行を肯定する意見が多いことも事実である。この調査結果を正しく分析し、対応についても考ておかなければならない。
例えば、指導者不足の問題についても、「技術的に高度になった指導には自信がない」とか、「休日返上の練習体制をしてないと不熱心のレッテルを貼られ兼ねない」などと、最近の部活動の持つ雰囲気に対する消極的反発ともみられ、理解できる点でもあります。しかし、多忙感の解消も適切な措置がされないなどの環境下の教員には、部活動が学校から無くなれば学校教育にゆとりが生まれ、充実するという短絡的な錯覚が生じており、忙しいからとか教えられないといって社会体育で面倒見てくれ方式の消極的な教育の方向を生み出す原因を作り出していなかったか、我々中体連関係者は、自らも正してみなければならないのではないでしょうか。
戦後50年、中体連とともに、中学生の教育の一役を担ってきた部活動が、学校週5日制の完全実施に合わせて行事活動が縮減され、その上、中学校から部活動が消え、中学生の大会が消えたとしたら、果たして、人生でおそらく一番純粋で、熱く燃えるものを持っている中学生に何を与え、学校は何を活力として生徒を生かしていけるのか、真剣に考えなくてはならない。そして、今、部活動を論議するとき、部活動が「中学校教育に必要な教育活動であるとするのか、否か」の原点から出直し、内容・方法・方向など問題や課題にどう対処するか考えなければなりらない。
そこで、本県の自由記述調査から指摘されている問題を整理してみると、部活必要論と部活不要論のディペードとなる。しかし、いきつくところ部活不要論にいたっては、明確な不要論がなく、問題が多く、解決困難な様相なので、学校から部活動を排除したいという意見の方向になっているといっていいであろう。問題や課題は、各方面の調査結果で、ある程度出尽くしたと考えられる。私たちは、問題の困難さに尻込みせず、時代の大きな転換期に、学校の部活動に何を残し、何を削減し、何を改善していくのかを早急に見定めなくてはならない。中学生のスポーツに賭ける心や、スポーツすることの重要性、心やわらかな中学生期にスポーツがもたらす人生悠久の効果など、よく理解し、生徒たちに一番関わってきた私たち中体連に携わるものか、「中学生の部活動がどうあるべきか」をはっきり提言していくことが重要である。そのためには、今までの進め方に固執しすぎることなく、一つひとつの課題解決に取り組み、焦点を絞った研究を深め、文部省などから方向が示されるのを待つのではなく、新しい教育と未来に向かって「新たな部活動」を創造していくことこそが、中体連の組織基盤を確実なものにすることだと考える。
13回を数える本連盟の研究、分科会の研究成果をまとめ、「中学校の部活動のあり方」をみなさんとともに、早い時期に、打ち出すことを提起して滋賀県中学校体育連盟の提案とします。
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